学習イノベーション

オンライン学習の効果

教授 加藤浩

 eラーニングを推進しようとすると,必ずぶつかるのが「eラーニングは本当に学習効果があるのかどうかわからない。(だから,やりたくない)」という声です。オンライン学習(eラーニング)の効果については,これまでに数多くの実証研究の蓄積がありますが,その結果はまちまちです。

 しかし,昨年の5月に米国教育省から,これまでの集大成とでもいうべき報告書が発表されました。それは”Evaluation of Evidence-Based Practices in Online Learning: A Meta-Analysis and Review of Online Learning Studies”というタイトルで,どなたでも米国教育省のホームページ http://www.ed.gov/about/offices/list/opepd/ppss/reports.html から入手できます。

 この報告書では,1996年から2008年までの遠隔教育に関する文献1132本の中から,綿密な比較研究を行っている51本を選別してメタ分析し,オンライン学習と対面学習の学習効果を比較しています。このように本報告書は,膨大な先行研究を踏まえており,しかも,米国教育省という権威ある機関から出されているので,今後大きな影響力を持つだろうと思われます。

 詳しい内容は,お読みいただくとして,ここでは結論だけをかいつまんでご紹介しましょう。

  1. 学習効果という点ではオンラインと対面のブレンド学習が最も優れており,オンラインのみの学習は従来型の対面学習よりも少しだけ効果的である
  2. ただし,オンライン学習と対面学習では,学習時間やカリキュラムや教授法などの条件で違いがあるが,そういった違いは考慮していない。オンライン学習は単純にメディアとして優れているわけではない。

 この結果が示唆しているのは,オンライン学習は確かに対面よりも効果を上げることができるけれども,そのためには,従来の対面授業をそのままビデオに撮ってWebに載せるだけではだめで,カリキュラムや内容を見直し,様々な工夫を盛り込んだコンテンツを作る必要があるということでしょう。

 つまるところ,eラーニングが効果を上げるためにはFD(Faculty Development)が重要であるし,同時に,eラーニングを推進するということがFDにつながっていく,いわばeラーニングとFDは車の両輪のようなものであるといえるのではないでしょうか。

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