大学eラーニングの今
第10回 ケータイで体験型の授業を実現 青山学院大学
◇伊藤一成助教の情報セキュリティ教育
携帯電話の普及は著しく、大学生の日常生活には欠かせない情報機器になっている。大学では、携帯電話を授業や情報伝達に生かす試みが広がり、ケータイは大学教育の幅を広げる情報端末として注目されている。青山学院大学社会情報学部の伊藤一成助教は、「情報倫理」「情報セキュリティ」の授業でケータイを活用している。単に学生との双方向(インタラクティブ)なやり取りにとどまらず、学生がケータイを使いながら学ぶ体験型の授業をデザインし、学生の関心、理解を高めている。
伊藤助教がケータイを活用しているのは、「社会情報とは何かを」を学ぶ「社会情報入門Ⅰ」。「社会学」「情報学」「認知科学」の内容をオムニバス形式の授業で、伊藤助教はこのうち情報系授業を担当し、「情報倫理」「情報セキュリティ」のテーマで4コマの授業を行った。

情報の講義をする伊藤助教
伊藤助教は、「NLP(自然言語処理)とその応用」が専門だが、「語学教育とプログラミング教育の融合」「IT人材育成」などにも関心が高い。授業を設計する中で、大学の情報教育が「モラル」や「ネチケット」などにとどまっていたり、「気をつけましょう」という説教、知識の伝達のレベルだったりすることが多いことを懸念していた。同時に、大学生の現状を考えると、「情報セキュリティ」の知識、理解が乏しく、このまま社会人になると、実務でさまざまな問題を起こす心配があると考えていた。伊藤助教は、学生が将来ネット社会を生きていく中で「そういえば、伊藤先生の授業で・・」と思い出せるようにしたい、そのために学生の生活に結びついた教え方が必要と考えた。そこで学生の必需品であるケータイの活用を考えた。しかし、伊藤助教は、 ケータイを使って情報漏えいやデータベースを不当に操作して情報を盗み出す方法などセキュリティの脅威を疑似的に体験させることを考えた。情報セキュリティの啓蒙活動を行っているIPA(情報処理推進機構)が公開している「セキュリティを脅かす10大脅威」を使うことにした。ケータイを使って学生とやり取りをしながら、セキュリティの実際を体感させる授業を設計した。


